KenGのあしあと(学級通信より)

過去に出してきた学級通信を紹介

第一期 新規採用校4年目  ついに全面対決! 1994.10.22  No.68

 先日、ぼくは出張だったので、一日るすにした。

 その時の様子を子どもたちに聞くと、いくつか問題になるところがあった。

 例えば、「きりつ・れい」の時、Nちゃんが責められていたという事(これは今後、対処していかなくてはならない重要な問題の一つでもある)や、ザワつきがやはりあったという事がある。

 一通り話を聞いたあと、一つひとつについてぼくの考えを述べ、そして「昨日のことは水に流します。今日から、気持ちを入れ直して、一からがんばりましょう。」と、あいまいなまとめ方をし、授業に入った。

 何となく重い、いやなスタートである。

 3時間目は算数だった。

 かけ算のまとめとして、文章題のプリントをした。

 答えを何か所かにはりつけておき、全部できたら自分で答え合わせをする。

 それができたら、二枚目のやや難しいプリントをする。

 こんなシステムであった。

 個別指導をその間にする。

 算数は、個人のスピードの差がはげしい。

 10分でできる子もいれば、20分、30分もかかる子もいる。

 これは当然のことであり、速い子には発展課題を与え、アドバイスが必要な子に、その間ついていなければならない。

 この時間、予想していたことだが、ザワつきがやはりおこりはじめた。

 何人かが「静かにして。」と言うのだが、効果はほんの一瞬。

 ぼくは何も言わず、様子を見守っていた。

 その間ぼくは、

・ こんな中で、どうして平気でいれるのか。

・ 何度も話してきたことが、どうしてこう繰り返されるのか。

・ 他の人のこと、クラスの仲間のことを、なぜ考えられないのか。

 こんなクラスにしてしまった自分を責めながら、ずっと考えていた。 

 そこでぼくは、

「もう同じ事を何度も言うのがいやになりました。

 もう話は聞かなくてよろしい。

 自分たちだけで、勉強をしなさい。」

と言って、教室を出た。

 クラス・学級の子どもたちと全面対決である。

 教師から何か言われて直すのではなく、自分たちで自分たちのことを考えてほしいと思った。

 そうしなければ、結局のところ同じことを繰り返すだけである。

 何を、どう考え、どう結論を出すか。

 ここを、どうのりこえるか。

 このままくずれていくのか、それともこれを機会にうんと成長していくのか。

 

  ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆

 

 「どうしてなんだ・・・。」

 「どうしたらいいんだろう。」

 子どもたちを見ながら、情けない気持ちになりながら、あれこれ考えを巡らせていたと思います。

 怒鳴れば静かになるでしょう。

 でも、それは「指導」ではない。

    対処の仕方は、いろいろあります。

 今ならこのようなことは、おそらくしない。

 でもこの時は、こうするしか仕方がなかったのだと思います。

 ただ一つ言えることは、「子どもたちを信じていた」ということです。

 「きっと自分たちで話し合い、何とかしようとする。」

 そう信じていました。