KenGのあしあと(学級通信より)

過去に出してきた学級通信を紹介

第一期 新規採用校4年目  ついに全面対決(3) 1994.10.24 No.70

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 先生が職員室へ行ってから、みんなでごめんなさいっていおうといっていて、

かなしかった。

 ぼくはもう、かえってこないと思った。

 けどみんなでごめんなさいっていったら、もどってきたからうれしかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 全面対決の翌日、子どもたちはお互いを注意しあいながら、テストの空き時間も静かに過ごしていた。

 あれですぐに、大きく変わるとは思わない。

 教育とはそんなに甘いものではないのである。

 あれはあくまでも、きっかけにすぎない。

 あそこから始まりなのだと言ってもいい。

 ただぼくは、あの事件は、子どもたちにあやまってほしくて対決したのではない。

 自分たちを見つめ直す時間をあたえたのである。

「あの日をくり返さない。」

    この言葉を合言葉にして、ゆっくりでいいから確実に前進していきたい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 だれかに「しずかにして。」と言われたら、ちゃんと3びょうでしずかにする。

 自分が算数のプリントがおわったからっていって、しゃべってちゃだめ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 これから3年2組は、人の話を3びょうい内で聞く。

 みんなでたすけあっていきたいと思います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

 先生が出ていったのは、みんながばらばらで、それで先生はおこったと思う。

 みんなが心を一つにしないからだめだと思う。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

 算数の時間に先生が、

「もう、あきれた。」

と言って、職員室にもどっていった。

 みんなシーンとして、時間もすぎて、わたしは思った。

「このまま、どうなるの。3−2はこわれて、バラバラになるの。」

    いつもいつも、同じパターンに、なんでなってしまうのかな。

 これから助けあって、いいクラスにしよう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 今日、先生がおこりました。

 みんながうるさかったからです。

 わたしは、「先生、ごめんなさい。」と思いました。

 わたしは、ほんとうに反せいしていると思います。

 先生、はやくかえってきて、思っていました。

 今までなかよくやってきたんだから、これからも、これいじょうなかよくしていきたいと感じました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 土曜日の帰りに、

「先生、夢飛行船どれくらい高くのぼった?」

と、Kちゃんが聞いてきた。

「昨日はおちてついいらくしそうだったけど、今日で100mくらいのぼったかな。」

「どれくらい高くのぼればいい?」

「1万m!」

「おー!がんばるぞ!!」

    みんな、このクラスのことが好きなはずだ。

 だれだって、ついらくさせようなんて思っちゃいない。

 

 あの日をくり返さない

 

  ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆

 

 あらためて読み返すと、「ひどいことをしたなあ。」と感じます。

 子どもたちのひたむきな、まっすぐな気持ちが伝わり、遠い昔のことですが、愛おしく思うのです。

 子どもたちの前に立った以上、経験年数など関係なく、私たちは「プロ」です。

 毎日が真剣勝負でした。

 必死でしたが、それがとても楽しく、やりがいを感じていました。

 どんだけしんどくても、子どもとたわいもないおしゃべりをし、とびっきりの笑顔を見れば、全てリセットされました。

 次の日からまた、元気に頑張れました。