朝、教室に行くと様子がおかしい。
「朝の歌」の歌声が、いつもより小さかった。
日直で司会をしていたT君の声がボソボソっといった声であり、これは何かあったな、と感じた。
案の定、ぼくの話が終わったあと、何人もぼくのところにやって来た。
話を聞くと、朝の会の時にもめごとがあったらしい。
T君は目に涙をうかべている。
全員をすわらせた後、まずT君に事情を聞く。
話によると、T君とMちゃんが日直だったので、朝の会の司会をしていた。
T君はいつも通り元気な声で進めていたのだが、Kちゃんが、「Mちゃんの声が聞こえないから、もう少し小さな声で言って。」とT君に言った。
だからT君は、その後小さな声で司会を進めた。
だが、小さすぎてみんなには聞こえず、「立って下さい。」と言っても、二人しか立ってくれなかった・・・。
だいたいこういった話である。
他の子にも何人か話を聞き、Kちゃんにも話を聞いた。
事実をしっかり確かめた後、T君は一生懸命しようとしていただけであり、KちゃんはMちゃんのことを思って言っただけである、と話した。
最後にT君、Kちゃんに、それぞれ自分が悪かったところはなかったかをたずねた。
T君は、Kちゃんをにらんでしまったことが悪かったと言い、Kちゃんは、T君が一生懸命やっているのに、途中で口をはさんでしまったのが悪かった、と言った。
自分の悪いところを認められて言えることは大変勇気がいるが、それが言えたことはえらい、とほめた。
T君はさらに、Mちゃんと合わそうとしなかったことも悪かった、と付け足した。
実にえらい!と、またまたほめた。
自分を見つめ直すことは、大切なことである。
それは心の成長に必ずつながる。
帰りの会、ピッタリ息の合ったT君とMちゃんの司会の姿があった。
宝物コーナーで、NちゃんがT君とKちゃんを「宝物」として発表していた。
![]() |
ノートパソコン PC タブレット iPadスタンド 折り畳み 人間工学 高さ 角度6段階調整 収納可能 持ち運びに便利 シルバー 価格:1455円 |
今の私ならおそらく、事実を確認した後、子どもたちに
「どう思いますか。」と、たずねます。
T君やKちゃんを批判する意見が続くかもしれません。
でも、きっとそうではない意見、
「いやいや、T君は元気いっぱい言って、楽しく進めていたんだよ。」
「Kちゃんは、Mちゃんのことを思って言っただけだよ。」
といった、プラスの面を捉えた意見も出るはずです。
そこを取り上げ、子どもたちに返していく。
つまり、担任である私の考え、というのではなく「子どもの言葉であたたかくまとめていく」ようにすると思います。
Mちゃんは実は、場面緘黙の子どもです。
全く話さないのではなく、友だち同士であったり、役割が決まった場面であったりすると、小さいですが、声を出します。
子どもたちはそのことは、充分わかっています。
優しくかかわっていました。
だからこそ、KちゃんはT君につい言ってしまったのでしょう。
今思い出しても、すてきな子どもたちでした。