KenGのあしあと(学級通信より)

過去に出してきた学級通信を紹介

第二期 一新紀元  「いじめをなくそう」の授業について 1999.6.23 No.39

 お便りを何通かいただき、ありがとうございました。

 うまく伝えられなかったところもあり、現在2年生のクラスではげしい「いじめ・無視」があるのか!と思われた方もいたのではないでしょうか。

 そのようなことはありませんので、まずご安心ください。

 

 議題カードに書かれていた

  ”いじめがあります。なんとかしたい。”

という思い・願いを生かしたいと考え、授業をしました。

 ぼくがずっと気になっていたことがあったので、そのことを話すきっかけにもなりました。

 アンケートの結果や子どもたちの様子、子どもからの訴えなどを見たり聞いたりしていると、「からかい」であったり、自分の力を誇示するために「たたいて」みたり、「いばって」みたり・・・。

 そんなことがほとんどです。

 発達段階から言って、当然起こってくることばかりです。

 でも、すべてそのままにしていては、いずれ「いじめ」につながります。

 機会を見つけては、それらがいかに「相手を傷つける」のかを考え、「思いやる」気持ちを育てていく必要があります。

 そこでぼくは、ずっと気になっていたことを突きつけました。

 

   ある子を、避けたり無視したりしている

 

ことがあるではないか!ということです。

 

 授業後、声をかけ合う姿が多く見られています。

 でもこれもまた、仲間づくりのきっかけにすぎず、始まったばかりなのです。

 国語で学習した『スイミー』のように、力を合わせ、違いを豊かさに変えることができたとき、本当の仲間になるのです。

 

 『スイミー』の感想文より

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 みんなが一ぴきの大きな魚になれたのがよかった。

 大きな魚をおい出だしたのがよかった。

 みんなが力をあわせたから、大きな魚をおい出せることができたのがよかった。

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 たのしくなったし、かなしくなったり。 

 スイミーだけじゃ、大きな魚にはなれなかった。

 でも、みんなが力をあわせたから、一ぴきの大きな魚になれるんだ。

 みんながんばったから、大きな魚になれたんだ。

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 スイミーだけじゃ、大きいマグロをおいだせないけど、赤い魚たちがいてよかった。

 スイミーもいてよかった。

 スイミーがいなかったら、目ができなかった。 

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 25年以上前のことですので、授業での子どもたちの表情、言葉等は思い出せません。

 子どもに背中を押され、そのことをきっかけとして、何とかせねばと具体的に動き出しました。

 もし議題カードがなければ、もやもやしたまま見過ごしていたのかもしれません。

 「いじめ・差別は許さない」と言っていながら、手を打つのが遅い!

 今こうしてその時のことを振り返ると、まだまだ未熟な教師であったことを思い知らされます。

 ただ、こうした経験は無駄ではなく、「どうすればいいのか」と考え、先行実践を調べ、そして取り組んだことを「通信」という形で書き記すことは自分の力になったと思います。

 ささやかな実践を地道に積み重ねていく。

 自分にできることは、こうしたことだけだったのです。