KenGのあしあと(学級通信より)

過去に出してきた学級通信を紹介

第二期 一新紀元  これは、おかしい! 1999.10.20 No.70

 学級通信『キラキラ星』は、その名の通り、子どもたちのキラキラ輝く部分をお伝えするものです。

 でも、時にはそうではない部分。

 考えていかなければならない部分も、伝えざるをえない時があります。

 「これは、おかしい」は、まさしくそういった内容です。

 見逃すことのできない実態です。

 これをもとにして、子どもと共に考え、話し合っていただきたいと考えています。

 

 2日前のことです。

 体育を終え、教室にもどると、AがBにたおされ、おさえこまれていました。

 何をしていたのか、原因は何なのかを聞きました。

 はじめ、AとCがもめていたそうです。

 BはCを助けようとして、上記したような状態になったということでした。

 では、AとCはなぜもめていたのか。

 CがAに、つばをつけたことが原因だということです。

 Aは「きたないなあ。」と怒り、もめごとが始まったのです。

 

 ここで問題が2つあります。

 

  1つは、Cはなぜ、Aにつばをつけたのか。

  2つは、BはなぜAではなく、Cの味方についたのか。

 

 Bは、「Cと友だちだから。」と言いました。

    では、Aとは友だちではないのか。

 そうではありません。

 Cはなぜ、Aにつばをつけたのか。

 ぼくは、

「同じことを、Bにできますか。」

と、たずねました。

「できない。」

と、答えました。

「Bにできないことが、どうしてAにできるのですか。」

「BとAには、どんな違いがあるのですか。」

と、問いました。

 

 B,C2人の行動には、明らかにAを軽く見ている「差別性」を感じましたので、追及しました。

 そして、そういったことからいじめが始まり、相手の心を深く傷つけ、ボロボロにしてしまうんだということ。

 時には命まで奪ってしまうこともあること。

 そうなったら、君たちの将来や家族はどうなるのか。

 いじめられ、追いつめられ、命を失ってしまった人の家族は、どんな思いなのか。

 大切なことですので、これらのことを話しました。

 

 実はAに対しての「物をかくす」等といった嫌がらせは、1年生の後半から

あったということを聞いていました。

 「いじめ・差別は絶対に許さない」と宣言していながら、まだこのようなことがあることに、力のなさを感じます。

 こういった「差別性」に気づかせ、それがいかに人を傷つけることであるかを、今後授業化し、考えさせていきたいと思います。

 

 

 Aに対することは、おそらく全担任からの引き継ぎで聞いていたのだと思います。

 これまでもBやCとの関係を気にかけ、注意深く見守ってきたはずです。

 それでも、こういったことは起こります。

 起こった時、「これはおかしなことなんだ。」ということに気づかせ、相手の気持を「想像」させる。

 「自分のこと」として考えさせる。

 そういった機会と捉え、子どもたちに投げかけていく。

 子どもたちとの日々は、平坦ではなく、でこぼこ曲がり道。

 だから、「熱量」が必要なのです。

 この頃は、まだまだ「熱い自分」がいました。